[コメント] さくらん(2007/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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独特の色彩はポスターや予告などではインパクトがあったのだが、実際に本編を見ると目の慣れもあるのだろうが、華やかさを感じなかった。しかし目が慣れるとはいっても、同じように独特の色彩の『アメリ』などの作品は最初から最後まで新鮮さ感じたので、蜷川さんの色彩はパっと見インパクトはあることは認めるが、二時間飽きさせない方法に関しては勉強不足だ、と感じた。あと、独特の色彩といっても部屋の中や一部のシーンだけで、屋外に関してはこだわりが見られなかったところが、色彩=世界観というレベルまで結実しなかった原因だと思う。
ストーリーは原作にあったエピソードを繋げたものだったが、もう少し1つ1つを丁寧に描いて、詰め込むエピソード数を減らしたほうがよかったと思う。いろんなエピソードを描いても上辺だけストーリーを追っているだけで、しかも、一つのエピソードが終わると流れがぶっつり切れて、また新しいエピソードが始まるという風だったので、一つ一つのエピソードの存在意義がわからなかった。
金魚がモチーフとして何回も出てきたが、金魚=遊郭から出られない花魁という表現があったにもかかわらず、ラストで主人公が外に出て行くところで、金魚はやっぱり水槽の中でしか生きられない、というようなセリフがあって、よくわからなかった。主人公が外に出るなら、金魚もなんらかの方法で解放されなくちゃ、あんなに何回も金魚を出した意味がないと思う。
桜のエピソードも「咲くことを諦めるな」っていうようなセリフがあって、これも桜と主人公を重ねている表現で、主人公がが咲くことを諦めちゃいけない、ってことだと思ってたのに、結局主人公が諦めるか諦めないかは関係なく、最後になぜか桜が咲いてたから外に出て行く、というのは「諦めるな」というセリフの意味が全くないと感じた。主人公が諦めるかどうかと、桜が咲くかどうかは別に関係なかったし。(主人公が桜を咲かすために何かする、ってシーンがあれば別だったんですが)
演技とかカメラワークとかもよくなかったんですが、ストーリーが一番ダメだと思いました。どこかの記事で脚本は監督が結構改変した、という記述を見たので、その改変によって金魚の伏線などが消化されなくなっちゃったのかなぁ、と勝手に予想してます。
ただあまり扱われない題材なので、PV感覚で見れば面白いかもしれませんってことで2点。
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