[コメント] クィーン(2006/英=仏=伊)
神と民に身を捧げた女王が、しきたりと信念に抗してまで声明を発したのは、自然の大地に育まれた大鹿の美しさに死した義娘の闊達さを見てのことなのか、はたまた、ブレア首相の箴言に準じて体制崩壊の危機を回避するための保身ゆえなのか。
そのどちらが理由であったとしても納得できるほど、ヘレン・ミレン演じるエリザベス女王の漠たる苦悩の体現は秀一だった。決断の理由如何にかかわらず、彼女は結果の是非のみによって、元首として喝采も浴びれば断罪もされ得るのだから。歴史を背負うということは、そういうことなのであろう。
ドキュメンタリー映像部の取り込みが巧み過ぎて、テレビドラマのように全体がこじんまりとまとまり、作品に映画的な飛躍を感じられないのが残念。
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