[コメント] 恋愛睡眠のすすめ(2006/仏=伊)
あらゆる意味で「安全」な映画。夢や妄想のシーンにおいてさえ私たちをおびやかすものが何ひとつない。完全にエロティシズムが欠如している。あるいはきわめて巧妙に隠蔽されているのか。
オレリア・プティやガエル・ガルシア・ベルナルが裸体を晒す場面ですらそこにエロティシズムは認めがたいし、布・毛糸・綿・セロファン・ボール紙といった「素材」に対するフェティシズムも、それをフェティシズムと呼ぶことがためらわれるほど徹底して「きれい」で「かわいい」。
それは確かにこの映画にとって欠点ではあるけれども、同時に美点でもある。ミシェル・ゴンドリーがこの映画を「安全」なものにするという演出意図を持っていたことは明らかであり、また妄想をこれほど「安全」なものに仕立てるというのはやはり並大抵のことではないはずだからだ。そういう意味ではベルナルとシャルロット・ゲンズブールは最良のキャスティングだと云えるし、ふたりの演技も演出意図によく応えている。
劇中、The Velvet Underground “After Hours”の替え歌が演奏される。
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