とにかく江守徹の怪演ぶりに尽きる。どうして彼があれほどのボケをかませるのかわからないが、すごい才能だ。福引きのガラガラをうれしそうに回す彼の姿はどうだ。３０年以上前の大河ドラマで江守徹の大石内蔵助に感動した自分としては複雑な心境だが...

祝言のシーンでのコラージュ系映像もこわれっぷりがすばらしい。

太鼓でひたすら古典的ボケをかますつまみ枝豆。私の見た映画館では田村正和の「ラストラブ」の予告編がかかっていたが、そういえば20年くらい前にはニューヨークの空港で "You are my sunshine" を歌う田村正和とチューしながら踊っていた岸本加世子のオバサンぶり。どんなに押さえつけても結果は同じになりそうな宝田明。

ラーメン屋で突然の大乱闘を演じる人たちの迫力。どうにも評価しようがない井出らっきょの「ギョエーッヘッヘ」はこの映画のマイナス部分を全部引き受けているかのようだ。そして我らがタケちゃんの悩み・困惑。その他の劇中劇の数々。

これだけの珠玉を手にしながら、グダグダに放り投げている贅沢なこの作品。例えとして「最高の食材を手に入れながらソース焼きそばの具にしちゃう料理人」を思いついたが、よく考えたらそういう一個の料理としてすら完成させてないというか完成させる気がないようなこの贅沢な作品を評価するのに「５」以外のナニがあるというのか？