[コメント] ゾディアック(2007/米)
完璧なロジックと洗練された美的センスで、サスペンスの古典となってしまった『セブン』。フィンチャーは巨大化した自己の分身と闘っている。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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『セブン』が色調を押さえた淡いブルーだとしたら、今回は戯画的で濃密なイエロー。主役は、洗練された格好のいい刑事たちではなく、新聞のカトゥーンを描いている。すべてが知能犯の計画であった『セブン』に対し、直接的な関係性のない無数の出来事も時系列のままでたらめに配置。真実に至るのはロジカルな推理ではなく、そのような意味付けを否定することで初めて可能となる細部の追求だ。現実社会に生きる人間としては当然のプライドや偏見をもったデカではなく、子供のような彼だからこそできた。マクロなプロットとしては『殺人の追憶』に似ているのだが、この作品がもつ時代性と『ゾディアック』が今から40年ほど前の時代性をもって撮られているということと、無関係ではないだろう。
『セブン』は名作なのか。単なる嘘くさい虚構じゃないのか。と、自分で問うてしまうフィンチャー。それは彼が世界を誠実に映し出そうとしているしている故なのだろう。
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