[コメント] ダイ・ハード4.0(2007/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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最初に悪者が登場して陰謀の匂いを小出しにし、始まりの頃にドンパチがあって好まざるが他にやる奴が居ないから俺がやるとなり、1時間過ぎたくらいに「おぉ!どうやって脱出するんだ?」的状況を思わぬ方法で切り抜け、その頃には、相手はノンポリの単なる泥棒(故にマクレーン側も思想や社会背景を必要とされず単純)である事が判明し、その結果、単なる逮捕劇から身内を救うという大義名分が与えられる(そのお陰で、うちのじいちゃんでも理解できる)。そして、最後には援軍も得て、悪者を退治し、身内を救い出すと言う、ある意味、正にシリーズを正当に(正しく)継承していると言える。
マクレーンがいつも相手にするのは、普通に考えたら一人では太刀打ちできない「状況」だ。あんまりシナリオはない。引田天功の脱出イリュージョンの連続と言ってもいい。これは一作目から引き継がれた、この映画の「らしさ」であり、ダイ・ハードだから許される。このように、見る者がそれを許すとは、「水戸黄門」に通じるところがある(いわゆるお約束という奴だ)。
話はいつも同じだし、作っている方も敢えてそこから脱線しようとしていない。むしろ、この映画の楽しみというか出来具合の基準は、話の基本を抑えつつ、各見せ場(思わぬ方法で切り抜けるとか、普通、あり得んだろう状況だとか)を、如何にして想像するかに掛かっている。クルマでヘリコプターを撃墜するなんてのは、正しく引田天功がイリュージョンにしたら大受けする類の発想だ。
要するにこの映画、作る方も見る方も、既に「水戸黄門」の域に達しているわけ。オマケに4作目になって、うっかり八兵衛やら助さん角さんに相当する人物まで出て来る始末。作ってる連中は、水戸黄門研究してんじゃないか?って疑いたくなるほど(笑。だからマクレーンは死ぬわけもなく、それでも作るし、それでも見るのは、「今回は、どんな趣向で脱出するのか」の提供と消費のある意味馴れあいで、安心で、行事みたいなものだと思う。
だけど、変にいじくり回して初編の「らしさ」を失うよりは、よっぽど軸足が決まっていていいと思う。
では、今回の4作目の「らしさ」=「イリュージョンのビックリ加減」はどうだったかというと、まぁ、普通。なぜなら、「絶対あり得ない」事ばかりだから。前作までは、もっと「あり得そう」なシチュエーションだったのが、今回は、ちょっとやり過ぎて逆にビックリできなかった。次回作は、もうチョット「いかにもあり得そうなこと」を思いついて欲しい。
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