[コメント] ダイ・ハード4.0(2007/米)
面白いか否かと言われるとビミョーと答えざるを得ない。
実態のないWEB「2.0」とかいうワードが独り歩きしだしたのは3年前くらいからか。「4.0」から連想できるとおり、凄腕ハッカーが出てきて「ちょっとそれはあり得ないんじゃないですか?」みたいなアクロバティックなハッキングを繰り広げるから、思わず「それどこの『ザ・インターネット』よ?」、あるいは「それどこの『サイバーネット』よ?」、あるいは「それどこの『ウォー・ゲーム』よ?」とつぶやいた人は多いだろう。
でも、それは別に問題ないんだ。
これは『ダイ・ハード』だから。
エンターテインメントだから。
ごめん、ちょっと評論家っぽいことを言ってみたかっただけなんだ。
ほんと、ごめん。
話は戻して、大味なストーリーは別に問題ない。これはそういう映画じゃないし、ぜんぜんそんなの求めてないから。ドッカーンと爆発して、バンバンと人が死んで、ピンチを克服して、俺って街のヒーローだし、みたいな妄想を楽しむ映画だから。
でも、本作では、肝心の「妄想」が楽しめないのである。
無印『ダイ・ハード』のレビューでも書いたけど、無印は「独り言をキメてから銃をぶっ放す、そんな自分に酔いたい」「後遺症が残らない程度の怪我を負い、ピンチな自分に酔いたい」みたいな妄想を楽しむことができる作品だったわけだ。
似たようなエンターテインメント大作だと……。
『ロッキー・ザ・ファイナル』は妄想カタルシスに浸ることができた。「落ちぶれた俺。でも、がんばった。がんばった結果、最後の花道を飾ることができた。努力すれば落ちぶれた俺さえかっこいい」みたいな妄想を楽しむことができた。
『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』も妄想カタルシスに浸ることができた。「年取った俺。でも、がんばった。体を酷使した結果、昔の女さえ手に入れた。年取った俺さえかっこいい」みたいな妄想を楽しむことができた。
しかし、本作では、上記二作品のような妄想が楽しめない。
それはなぜか?
それはブルースのせい。
スタローンみたいに落ちぶれてないし、ハリソン・フォードみたいに明らかに年取ってもない。『ダイ・ハード4.0』を見てみれば、いつものブルースがいる。しかも、以前より大物になりやがったブルースがいる。
いつものブルースは、いつものようにピンチになって、いつものように怪我をして、いつものように大逆転する。しかし、いつものブルースの活躍は、もはやスティーブン・セガール的な嫌味にしか感じられないのである。
「おまえマクレーンだしな。そりゃ強いだろうよ、はい、お疲れ。まあ、セガールと違って、わかりやすく怪我するから★2つ」みたいな、いやーなコメントのひとつもつけたくなっちゃうのである。
うむ。完全に個人的な意見でしかないのだけど。
というわけで、続編系エンターテインメント大作で妄想を楽しむには、主演俳優にプラスαが必要不可欠であると思いました。ブルースがハリソン・フォードなみに老化してから、飛行機に飛び移ったりしたら、たぶん、間違いなく★5つをつけるだろう。
おしまい。
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