[コメント] 天然コケッコー(2007/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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俺は小中高と東北の北で過したのだがどこの学校も一学年が300人を超える大きな学校だった。マンモス校でのほほんとしていると自分の存在など忘れ去られてしまうわけで自然と競争意識が働く事になる。逆に人と係わり合いになるのが鬱陶しい時には黙っていれば誰も気が付かない。(小さな学校はこれの反対だろう)
そういう全然逆の環境の中で育った二人がお互いの価値観を次第に認め合う様になるのが恐らく心地良いのだろうと思う。都会から来た彼が田舎の価値観に反発しながら次第に感化されていくというシナリオならいかにもな都会人の田舎万歳な映画に終わりそうだった。そういう危険な部分もありながら東京修学旅行ロケを入れた事によって都会と彼の価値観を表現しているのは見事だ。ここから彼が東京の高校を受験したい、という気持ちは分るし学校のブロックは思い出でも何でもなく単なる廃品扱いなのは絶対又ここに戻ってくるという宣言でもあるのだ。しかし逆に彼女の方はブロックをもう戻ってくる事の無い思い出として扱っている。
これが後半の山場、二人の会話、長回し望遠レンズで生きてくる。ここは凄かった。ベテラン俳優ならまだしも二人の年齢を考えれば監督でなくとも「何があった!?」と思える名シーンでありちょっとした奇跡を観た気もする。
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夢のない話をすると高校卒業後、二人とも東京か大阪の大学に進学し同棲しながらも結局は別れてしまい一人は実家に戻り結婚、もう一人は別の人と結婚しながら別れ、子供を連れて田舎に戻りお互いの子供同士が再び付き合うようになり…なんだろう。そういう風に考えれば両親の浮気も単なる浮気には見えないわけで橋で飛び降り自殺した人もホラーネタでだけではない深い話もあったと思う。それらが全然話には出てこないのがまた良いところでもあったり。
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