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[コメント] 街のあかり(2006/フィンランド=独=仏)

日を追う毎に好きになってく。
tora

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







過去のない男』に続くカウリスマキ監督の新作。 前作の主人公と違い、本作の主人公は下手を打ってばかり。 いいように利用され、ささやかな日常まで奪われ・・・

それでも現実的な仕事をし、希望を捨てない主人公。 どんなに打ちひしがれても前に進むしかない。 疲れた身体と眼差しに比べ、最後の台詞がもつ力強さ。 語気も弱く、大袈裟な言葉じゃないけれど。

娑婆との違いがほとんど無い刑務所というのも面白い。 あの気だるい感じでOKなら入りたい人もいるんじゃ^^;? 唯一、刑務所の場面で主人公が笑ったのも新鮮でしたね。

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早稲田松竹のスクリーンで再び鑑賞しました。

「ここでは死なない」

最後の言葉に「希望がもてた」との感想が多いですけど、 北野武監督の『キッズリターン』で最後に交わされた 「俺達もう終わったのかな?」「まだ始まってもいねぇよ」 という会話にも似た悲哀を感じましたね。

コイスティネンの人生に今後も劇的な変化は無いでしょう。 ただその言葉は、警備会社を興そうとしたり、 修理工場を始めようというそれ以前の荒唐無稽なものと 同じではなく、散々打ちのめされた挙句に出た本音。

「このままでは終わらない」と半ば周囲を見下した態度で 食べかけのソーセージをゴミ箱に投げ捨てた時と違い、 素の自分で事実を受け入れようという姿勢がありました。 大袈裟な希望ではなく、まさに“あかり”ですね。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)煽尼采[*]

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