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[コメント] 消えた天使(2007/米)

題材はユニークだが、その分全体が複雑化し、それをまとめきれず…。結果、残虐な性犯罪映像だけが目に付く悪趣味な映画になった。(2007.08.18.)
Keita

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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“サイコスリラー”というジャンル、ここ数年で減ったという印象がある。『羊たちの沈黙』以降、90年代に量産され、題材も手法もやりつくされてきた。

この『消えた天使』も題材としては興味深いのだ。リチャード・ギア演じる主人公は警察官ではなく、あくまで性犯罪の登録者を管理する公務員。事件が起きたから真相を突き止めなくては、という警察の思考とは少し異なり、自分の担当の登録者が凶悪犯罪に絡んでいるのでは、という思考から追跡を始めるのだから。

だが、題材がユニークな時点で、設定が複雑化する危険を孕んでいる。この映画は、上記のような正統派から外れた主人公設定や、性犯罪者に触れるうちに自らが蝕まれていく様、犯人の動機など、多くの部分を消化しきれないまま進んでいってしまった。

落ちぶれた役を演じるようになったリチャード・ギアにしろ、クレア・デーンズにしろ、役者の演技は良かったと思うし、荒野でのクライマックスシーンなど、アンドリュー・ラウの絵作りも良かったと思う。ただ、どうしてもアイデア先行の映画という感が拭えなかった。

ストーリーがまとまりきらないと、サイコスリラーは残虐な映像ばかりが印象に残る悪趣味な映画になる。多用されたフラッシュバックやホラー的な演出は逆効果となり、不快さを強調させるのだ。

(評価:★2)

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