[コメント] クローズド・ノート(2007/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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文句が多い割には高得点です。惜しい。好きだからこそ、★5つはあげられない。
伊勢谷友介の泣きの演技が余りに強引、かつしつこいのと、日記のラスト1ページのナレーションの後が辟易するほど長過ぎて感動が冷めました。。。
恋する女のコの切ない思いは2人の女優の演技力によって見事に表現されていました。
行定監督にしては珍しいコメディタッチな演出もちゃんと成功していました。
伊勢谷友介演じる石飛リュウ(隆)の飄々とした雰囲気も『ハチミツとクローバー』よりも自然で上手だと思いました。
全ては順調に動き出していました。。。
でも、以下の3つの点で、僕的には少しだけ残念な作品となってしまいました。
1.隆とリュウが同一人物だとキャスティングの段階で既にネタバレなこと。
仮に黄川田将也ではなく、もう少し存在感のある「仮の隆」であれば、名前の類似性を考慮しつつも「もしかしたら別人かも。。。」と思わせたかもしれない。決して黄川田将也が下手なのではない。ミスキャストと原作の稚拙さゆえ。
2.香恵が伊吹に会いに行く理由がそれまでの流れから逸脱しているように感じたこと。
日記を読み続けるうちに香恵が一方的に伊吹に抱く「理想の教師像としての憧れ」。それが香恵が伊吹に「会いたい」と思った動機に感じられなかった(少なくとも公開前のチラシにはそのように表記されていた)。寧ろ、同一人物を好きになってしまった女性に日記を返すという口実を利用して、「恋敵をひと目見たい」という流れにしか男の僕には感じられなかった。
3.ラスト、石飛の個展において、香恵が読みあげる日記の最後のページのナレーションは、香恵の声から伊吹の声にシンクロしていくべきだったこと。
あの日記を書いたのは香恵ではなく伊吹であり、伊吹の思いを伝えるには伊吹の声でなければ説得力がない。石飛の耳には、香恵の声ではなく伊吹の声に聞こえていた筈。ナレーションの表現力も沢尻よりも竹内の方が優れていることは明らかだ。
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更に、石飛の泣きの演技につながるが、残念なことに今年観た『手紙』の玉山鉄二とつい比較してしまう。飄々とした伊勢谷友介は上手いが、泣きのシーンでは必死過ぎて正直ひいてしまう僕。。。
どう見ても、涙を捻り出しているようにしか見えない。カラッカラの雑巾を更に絞っているかのような感じ?
その後、香恵のマンドリン演奏・校庭での紙飛行機乱舞シーンなど蛇足なシーンが続き、「ダレた」印象のまま席を立つに至る。
終わり良ければ・・・ではないが、ラストのラストで監督の自己陶酔振りは気恥ずかしさすら感じた。
どうひいき目に見ても、石段に座ってマンドリンを弾く沢尻エリカ。お嬢様キャラ的には幻滅だ。。。
ボーダー柄の服やクロップドパンツばかりを着せられて少し太めに見える沢尻エリカに対して、徹底してマーガレット・ハウエルに身を包み、清潔感・透明感なイメージで描かれる竹内結子。監督の好みが窺い知れた。
はい、僕も竹内結子の方が好きです。特に笑顔。母性の塊のような笑顔が好きです。
余談:香恵が石飛のメールアドレスを知るシーン、住所を知るシーンは、ない。割愛されたのか始めから撮っていないのか不明。香恵が何でそんなことまで知ってるのか、観賞している僕、ビックリする。。。
パワーボール(石飛命名のうずらの卵入りミートボール)を食べそう〜で食べないシーン。豪華なお惣菜に紛れてしまった彼女の手料理は、何だか切ない。。。
伊吹の後姿が描かれた紙が、山田一平君の答案用紙だったこと。そして、その回想シーン。この辺りの演出は素晴らしい。。。
冒頭から存在がないため伊吹先生は病気で死ぬのかと思っていたら、意外にも交通事故。貧血で倒れたシーンは伏線ではなかったのね。。。まぁ、病気で亡くなる映画はもうお腹一杯だから、どうでもいいんだけど。。。
伊吹先生が担任を受け持つ4年2組の子供たちがありえないくらいに一致団結していて、こそばゆい、と言うか、気持ちが悪い。。。
そんな感じでした。。。
文句が多い割には高得点です。惜しい。好きだからこそ、★5つはあげられない。
2007.9.27 試写会にて観賞。
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