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[コメント] ALWAYS 続・三丁目の夕日(2007/日)

物語は甘々。だけどOPにあの“白目”を観てしまったらもうあかんです。当然点数も甘くなります。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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 昭和30年代を描き大ヒットを記録した『ALWAYS 三丁目の夕日』続編。前作は細かい小ネタをちりばめつつ、緩やかに話が展開していく形式を取っていたが、今回の話はむしろ大きな物語を主軸に取って、それを敷衍する形で小ネタを使っているのが特徴だろう。その分まとまりが出てきたけど、ノスタルジックさよりは単なる駄目人間の恋愛話を延々とやってるような作りになってしまった。好みという点では一作目よりは落ちるのだが、他人の夢を自分の夢に置き換えて全員で応援する下町情緒の描き方は良かったと思う。人情を前面に出す辺り、前作の取り残しを丁寧に処理したって感じだろうか?劇中で「現実は厳しい」とか言っていたが、あくまで物語は甘々で。それで良いんだろう。

 相変わらず高い演出の良さにも目が惹かれる。本当に細かいところだらけなのだが、昭和30年代を演出するのに、ふんだんなCGを嫌味なく使う豪華さは素直に感心できる。

 …が、しかし、否応なく本作の評価を高めてくれたのは、私にとってはOP以外の何者でもない。いきなりの昔懐かしい「TOHO SCOPE」の画面をそのまま使うところも良いけど、何よりその直後伊福部マーチと共に現れる大怪獣!白目ゴジラの偉容には、ただ涙。しかしほんとにゴジラはこの時代だからこそ、本当に大怪獣たり得るのだな。そもそもゴジラは単独での異様さこそが本来の持ち味。他に同じ大きさ、あるいはゴジラよりも大きい存在が出てしまっては魅力は一気に薄れる。たとえ物語が同じであったとしても、1984年版の悪さは、その対象物の設定にこそあった。それで本作を見よ!ゴジラに対する対象物は全てゴジラの膝以下。ゴジラよりも大きな東京タワーも放射能火炎一発でへし折れる。これこそゴジラ!これこそが雄志だよ。この時代こそがゴジラを映えさせていると言うことに改めて感じ入った次第。初代『ゴジラ』は時代が作った作品だったのだな。

 強いて悪いところを言えば、ゴジラが着ぐるみではなくCGだったため、生物的すぎるところくらいか。折角東宝なんだ。ここはちょっと奮発して着ぐるみを使わせてやっても良かったじゃないか。しかし山崎監督、前々から思っていた通り特撮には並々ならぬ思い入れがある事が分かった。これだけのものが作れるのなら、このようなネタとして短いのではなく、是非ちゃんとストーリーの付いた長いのを。しかも時代設定を昭和30年代にして作って欲しい。切実にそう思う。

 とにかく、本作という物語を通して観て、一つだけ言えることは、「私はゴジラが大好きだ」と言うことだ。改めてそのことを感じさせてくれただけでも本作を観た価値があるってもの。

 …ちなみに、本編レビューよりもゴジラネタの方を長くしたのはわざとです。だって私にとってはこっちの方が重要だったんだから。

(評価:★4)

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