[コメント] 転々(2007/日)
久々に悩み事を抱えたままこの映画を見る。自分に今存在する心の空隙を癒すことはあり得ないが、何かかさかさとしたこの気持ちに水分が欲しかった。
映画は出だしからほんのりと軽快。今までの脱力系というより突き抜けた吹っ切れた明るさがある。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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さらにそこには人生の切り取られたある瞬間が存在する。
転々と東京を彷徨する二人は今日本の悩める日本人の代表かのようだ。誰もが人の温もりを欲しがっている。一人では生きられないのは強がりを言っていても分かっている。
オヤジのいない無気力大学生と子供を小さい時に亡くしたらしい中年オヤジ。共通点は多いのだろう、二人三脚のように最初はとぼとぼ歩いていたのが、そのうちしっかりとした足取りとなっている。
擬似親子を演じていたらそのうち母親、妹までくっつくことになる。「紀子の食卓」と設定は一緒。この一瞬パクリはこの映画の核の部分。泣かせる。日本人で良かったと思わせるシーンの連続。
それにしてもこっそり笑っていた今までの三木ワールドからこれはどうだ、原作ものだからかもしれないが風格と芯がある。驚く。
いつもよく歩く東京だが、今回はまったく別世界のような新しい東京に見える。これも映画の魔力でしょうか、、。さまざまな俳句が一面折り重なっているイメージの三木聡の一つの到達点と言えようか。秀作。
映画館を出るときには何かこの映画から解決を見たような気がした。映画ってやはりいい。
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