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[コメント] 再会の街で(2007/米)

印象的なのは9.11を扱う題材の中で、遺族とそうではない人の心理を同じレベルで描いたこと。ゼロの先にはプラスしかないことを、2人が神経をすり減らして罵り合うことで教えてくれる。山場がないようで、実は全編が山場のような120分間だ。
ナッシュ13

**ネタバレ注意**
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この決して重すぎない物語を見てもやはり、9.11の犠牲者の数だけこのようなドラマが実際に起こっているのか…と確かに切ない気持ちになってしまう。それでもなんだろう、最終的には救いの手を差し伸べる仕上がりになっている。完全な再生ではないけれど、そのきっかけを与えてくれる。

チャーリーはピストルを手にした。いつでも自殺は可能だったのだろう。生きる希望をなくして絶望したのなら、まず第一にこの先どうやって生きようか?ではなく。まず自殺を考えるのが自然だ。もし事故直後なら、尚更そういう状況に陥っていただろう。それでも数年間をチャーリーは生きてきたのだ。死ぬ勇気がなかったという選択肢もあるが、おそらく生きる希望をなくす(自己逃避・現実逃避)に希望を見出していたのだ。だから過去をほじくり出されると激昂する。そこで、再会が待ち受けている。家族も仕事もあるのに、決して恵まれていないかつての旧友の存在がある。きっかけの積み重ねで、物語は進んでいく。全てが再生のきっかけになり得ているのがとても興味深かった。

明確な起承転結がなく、とてもスローな展開なのだが、嵌りに嵌った役者達が小説を読ませるかのごとく魅せてくれる。サンドラーの存在は悲劇に偏り過ぎない良いバランスを保たせてくれるし、そんなことよりも渾身の演技に感動するしかなかった。本当にウマイ。

(評価:★4)

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