[コメント] ヒッチコックのゆすり(1929/英)
サイレント映画かと見紛う冒頭シーンや連鎖される「円」「顔」「手」のイメージ、トーキーへの移行に伴う音の実験など若き巨匠の才気に圧倒される。刺殺シーンの見せない演出、そして包丁の妖しげな煌き。影の巧みな使い方も素晴らしい。終盤はヒロインの心理的葛藤が映画の速度を減衰せしめているが、それでも充分面白い。前半は『勝手にしやがれ』にも劣らない革新的な仕事だ。
(赤い戦車)
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