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[コメント] かぞくのひけつ(2006/日)

関西特有のおちゃらけにカムフラージュされてはいるが、これは普遍的な男のバカさ・ガキっぽさと、女のしたたかな連帯を描いて秀でた作品である。秋野、ちすん、谷村…この物語は女の尊敬に値する強さをあからさまに誇示する。
水那岐

ごめん』の久野は随分成長したものだ。しかしやっていることは当時と大して変わらない。女の事はまるっきり理解できないくせに女をリードする立場をとろうとし、その結果かかるはずも無い性病に悩む。

彼が長じて大人になった姿が優柔不断な雀々である。これはもう常軌を逸した色ボケ親父であり、息子は彼の姿に己の未来を垣間見て絶望する。だが、その姿が憎めないのはやっぱり俺もスケベオヤジであるからだ。要するにこんな泥臭い人情喜劇が展開されうる大都会は最早大阪以外にはなく、普遍たるべき浪花節は大阪以外には存在し得ないからだ。『男はつらいよ』末期のガチガチの保守化から一体何年経った事だろう。それゆえに訪れたことも無い大阪・十三の街が限りなく懐かしく感じられる。

つまりは、これが日本喜劇映画のオーソドキシーの極みであるとも言えるからだ。この映画は大阪に較べて東京での公開が随分と遅れたと聞く。ニーズが存在しないはずはないと思うのだが…。決して老人向け映画ではないのに、周囲は団塊以前の観客で一杯であった。若いお笑いファンにこそ共感できる映画だよ、これは。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)林田乃丞[*]

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