コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ロイ・ビーン(1972/米)

“異色西部劇”と呼ばれるだけのことはあるけど、それも西部劇の楽しさを追求した結果。是非一度観て欲しい西部劇の佳作。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ジョン=ヒューストン監督、ジョン=ミリアス脚本、ポール=ニューマン主演という、非常に魅力ある顔合わせで作られた作品。出来は異色の西部劇と言った趣。小編が続いて出てくる感じで、緩急取り混ぜ、飽きさせないし、特に前中盤を通してユーモアのセンスに溢れた作りは実に好感が持てる。ビーンがメキシコ人の妻を娶るあたりの駆け引きや、夫を信用している割りに嫉妬深い彼女のキレぶりとかが上手くまとまっていた。殺人自体が罪悪感を持って描かれていないため、あっけなく殺されてしまう登場人物の描写がなかなか楽しい。後はやっぱり熊かな?熊と夫婦のつきあい方が実に面白い。

 それで何かほのぼのしていたら、後半に入って一気に物語は暗転。妻が死に、町はインテリに席巻されるようになる。そこで身の置き所を無くしたビーンは一人、去っていくと言う、急に哀しい描写に変わる。

 そして、このタメが最後に爆発する。石油工場が乱立し、すっかり変わった町。確かに豊かになったが、そこには再び秩序が失われ、かつてのビーンの仲間も社会の底辺に押し込まれてしまう。こんな町に彼が帰ってくる。ここからの活劇はなんと言っても今までの溜飲を一気に下げるほどの格好良さ。年老いたビーンと仲間達、そしてビーンの娘の凛々しさ。それらが一緒になって凄く格好良いし、カタルシスもある。

 そして最後、彼のいなくなった町に、彼のあこがれの君、リリーがやってくる。そのすっきりしたエンディング。構成は実に巧い。確かにこの映画は監督、脚本、主演がぴったりとはまっている。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (4 人)鵜 白 舞[*] ハム[*] ゑぎ[*] ジョー・チップ

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。