どうでもいいが、種馬マンは反則だ。どうしたって「山崎vsモリマン」に頭が行ってしまうではないか。

・・・、え〜、すみません。本題に移ります。

本作は、「モダンスイマーズ」という劇団の2004年公演、「五十嵐伝〜五十嵐ハ燃エテイルカ〜」を原作にしている。一旦落として一気に上げていく手法など、確かに演劇的であるが、映画としての昇華に成功していると断言できる。

何より特筆すべきなのはラストのプロレスシーン。新しい事を覚えられない五十嵐（佐藤隆太）が、合宿で各部員に教わった技を一つ一つ決めていくところは、とても感動的である。ただ、最後に負けさせたのは『シムソンズ』のリアル路線を踏襲したのかもしれないが、本作に関してはそうする必要性はあまりなかったと思う。「みんなの記憶に刻んでやれ」とか「自分を信じろ！」と登場人物にいわせるのならば、勝たせても良かったのではないか。

とは言え、青春映画として、かなりな高水準であり、芝居の映画化という点では、2007年の『キサラギ』に匹敵する作品であると思う。芝居の映画化はこれから、一つの柱になっていく予感である。