[コメント] パラノイドパーク(2007/仏=米)
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アレックスに手紙を書くことを薦めるメイシー(ローレン・マッキーニ)の素直な優しさには、一筋の光明を見るようで安堵感を覚える。彼は彼女に「僕らの問題など小さなことで、世の中には世の中にはもっと大きな問題がある」と語る。それは、イラク戦争でありアフリカの飢餓の問題だと。
確かにアレックスは、次の大きな世界へとつながるすべを見つけたかのようだ。しかし、彼の言動には周りの者を不安にさせるある種の極端さを感じてしまうのだ。精神的に閉ざされた孤独から人を殺めたことへの言い知れぬ恐怖と不安、そして感情をあらわにすることなく無表情のまま巨大な悪や不幸へとつながる彼の意識は、まるで「中間」というグラデーションなしに「黒」から「白」へとダイレクトに、つまり穏やかな感情の移行という緩衝材なしに展開しているかのようだ。
同じガス・ヴァン・サントの『エレファント』が、少年たちが突然の銃乱射にいたる「負」の方向への飛躍を描いた作品で、本作がアレックスのより大きな問題をはらむ社会という「正」の方向への意識の目覚めを描いたものだとしても、少年の思考回路に同質の「分からなさ」が存在しているように感じるのだ。今回もまたガス・ヴァン・サントは、何がどの方向に転ぶのかなど分からないのだ。それが日常であり、人間なのだと意地悪く語っているように見えた。
窮屈なスタンダードサイズの画面のなかを、ゆらゆらと揺れながら、時にはみ出し、時に視界から消え、スケートボードで滑走する少年たちの姿が象徴的であった。
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