[コメント] 光州5・18(2007/韓国)
軍政の冷徹な論理によって生じた狂気が漂っている点素晴らしいが、メロドラマがために説得力が大幅に減じてしまった。
この映画を見た日本人には「デモは全国でやっていたのに、何故光州でだけここまでひどい事態になったのか」、まったくわからない。
娯楽映画が脚色をするのがいかんと言うわけではないが、結局の所、登場人物の描写は好意的に言って「市民が立ち上がったのだ」ということを見せるがためのドラマを作るのに費やされ、軍政が醸し出す狂気と、何故衝突してここまでになったのかがさっぱりココロに響いてこない。描かれた登場人物の行動等にモデルはそれぞれいたとは言うのだが、それをドラマとして主要人物に割り付けてしまったがために、特に主人公4人がとても「普通の人」に見えず、完全に「軍政の狂気と市民の衝突」から浮いてしまっている。やりすぎ。
それでも、1980年という近しい過去に、当時隠蔽されてしまった悲劇をここまで正面から描いたことは素晴らしく、見ておく価値のある作品であるということは言えるだろう。
21世紀になっても、こういった悲劇は、世界中で起きている。
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