[コメント] スミス夫妻(1941/米)
多くのヒッチコック作品と同様にこれも「ゲーム」の映画。ゲームの本質は「ルール」だ。プレイヤーたる作中人物は演出家の定めたルールに従って振舞い、観客もルールを共有しつつ映画を見る。この共犯的三角関係を操るのがヒッチコックは抜群に巧い。ま、それはさておき口パクロバート・モンゴメリーの阿呆顔!
ゲームやらルールやらの語が飛び出したついでに云うと、ヒッチコックのゲームの映画系列の最高作は『裏窓』『北北西に進路を取れ』『ハリーの災難』などでしょう。一方、非-ゲームの映画系列としては『サイコ』『鳥』がベストと云うにふさわしいでしょう。どうして『サイコ』や『鳥』が非-ゲームの映画なのか、云い換えれば、観客に大きなショックを与える映画なのか。それはユーモアの量の相対的な乏しさや猟奇性のためではなく(もちろん、それも少なからず関係はしているでしょうが)、作中人物や観客が従っていたところのルールを、ルーラーたるヒッチコック自らが破ってしまうからです。
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