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[コメント] スミス夫妻(1941/米)

30年代アメリカ映画のロマコメの傑作に比して40年代にこの程度とはあまりにも退屈なBAD作品
junojuna

ヒッチコックがハリウッドへと渡って間もない時期の模索映画として、印象、技術ともに鳴かず飛ばずの駄作といえるロマコメもの。現代から振り返ってみてもキャロル・ロンバード、ロバート・モンゴメリーともに映画の体格が小さすぎる。冒頭、物語を始動させる状況説明が、会話劇を通してなされるが、親切さとは程遠い分かりにくさである。映像で語ってみせるところがヒッチコックの真骨頂かと思っていたが、ストーリーをシークゥエンスとして語る技術には不足しているような気がする。サスペンスを意識させるモンタージュの妙という萌芽は垣間見られたが、ゆえにヒッチコックとは、ショット単位の強度で語る作家であるということが浮き彫りとなった。物語よりも視覚の作家だからこの手の素材では限界が見える。ロマンティックにもコメディにも振り切れないなんとも晦渋満ちた小品であった。この素材であれば、ハワード・ホークスに撮らせたかった。きっと何倍ものファンタスティック感を打ち上げたことだろう。キャロル・ロンバードは綺麗であった。飛行機事故は悔やまれる。ジーン・レイモンドはガタイのいいダスティン・ホフマンであった。男同士の殴り合いに発展しないところがイギリス喜劇の信条なのだろうか?サウナで置き電話登場もツッコミたくなるハッテン場ムード。しかし、こうしたダメな笑えるシーンにも印象が薄い。と、まぁヒッチコック、ハリウッドでの習作期として今後のフィルモグラフィに期待。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)寒山拾得[*] 赤い戦車

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