コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] おいしいコーヒーの真実(2006/英)

この映画の続編は、『オースティンパワーズ・デラックス』である。両方見た人ならわかるよね! Dr.イーブルがなぜあの企業のオーナーなのかがわかるので★ひとつプラス。
ロープブレーク

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







エチオピアのコーヒー農家が貧困なことはわかったが、それがなぜなのかについて経済学的あるいは政治学的に迫ることをこの映画はしない。ただ、貧困や飢餓に苦しむエチオピアの様子とコーヒーを楽しむ欧米の様子が交互に映し出されるだけだ。もちろんコーヒー豆の流通市場の寡占状態やNY商品取引市場の役割、WTOの欺瞞などヒントは与えられる。しかし、それらはヒントとして投げ出されるだけで手がかりの糸は映画の中では紡ぎ出されない。自分で調べて考えろという意図があるとも思えない。なぜなら最後にフェアトレードのプロモーションがあるからだ。フェアトレードで解決するか?もちろん、状況はよくなるだろう。それが今のコーヒー農家を救うことはわかるし、それこそが喫緊の課題であることもわかる。しかし、例えばドトールなどでは農場を囲い込んで豆を確保している。もちろんドトールの農園で働く人は、映画に出てくるスタバに豆を供給する村のように飢餓状態に置かれるわけではない。しかし、プランテーションの構図は変わらない。それでいいのか?市場経済の仕組みの中でコーヒー農家が報われる構造を作り出さないと、コーヒーの欺瞞の構造は終わらない。エチオピアのコーヒー農家がフェアトレードで得たなけなしの金額を学校を作るために費やそうとする姿を見て、グローバリズムの業の深さを思った(だって学校を優等で出た子供はグローバル経済の担い手になるわけでしょう)。この映画は単純に反企業主義感情を喚起することを目的としているように思えるが、それではコーヒー農家の苦悩に比べてあまりに意識が低いと思う。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (3 人)ゆーこ and One thing[*] IN4MATION[*] 水那岐

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。