[コメント] ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!(2007/英=仏)
映画を見終った人むけのレビューです。
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「田舎」の粘着的閉鎖・監視体質と脱出のもがきを黒い笑いで語る手法は特段珍しいということはない。「喰らう」というような単一イメージに支配され、ダメージを受けてもすぐに再生するコミュニティのグロテスク感は「ゾンビ」になぞらえてみる事ができ、ほとんどそれらはブラックコメディやホラー的な味付けに帰着する。『ショーン・オブ・ザ・デッド』を撮ったライトがコミュニティのグロテスク感に目を付けたのは自然の流れといえば言えるのかもしれない。
ただ、これまで脱出不可能性への詠嘆が多く描かれてきたのに対して、おそらくは誰もが心底待ち望んでいたあろうにも関わらず、これまで提示されなかった「最後はドンパチでヤッホー」という結末が面白い。たとえば、「ほぼ乱射未遂」で終わらせた『松ヶ根』の詠嘆も非常に面白かったのだが、ありそでなかった観る者の「怒り」(もっと明け透けに言うなら「殺意」)を素直にドンパチに表象させる潔さ(「軽薄さ」ではない)に感じ入った。挑発的だが、徹底した戯画化(ホラー・コメディ化)のおかげでイヤミにならない。
テーマの根幹だけで比較するなら『ツインピークス』(TV版)に比肩するものはないと個人的には思いますけどね。
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・「エンジェル」のネーミングが秀逸。私達は「天使」も「死の天使」も大好きなのだ。
・アクションの点について言うなら、婆さんにかます「ドロップキック」が素敵でした。笑いの点で言うと3819695さんの仰るとおり「変なのは俺の方なのか?」という逆転現象が皆無ではないにしろ少なくとも足りないという不満があります。もっとも、「切り替えが悪い」というエンジェル刑事の造形の説明で事足りているのかもしれないですが。
・パロディのネタ元はほとんど私には分かりませんでした。チェックインするホテルのカウンターのクロスワード婆さんによる「前から住んでるじゃないですか」という台詞でドキッとした位です。あとは『バーバー』と『ブレードランナー』くらいでしょうか。スーパーマーケットの銃撃戦という設定も鉄板ながら面白いです。ゾンビ映画の鉄板を彷彿とさせる意味で。
・眉間に皺寄せっぱなしのサイモン・ペッグ。さぞかし頭痛に悩まされたことでしょう。
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