[コメント] 20世紀少年 第1章(2008/日)
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コンビニのカンナ連れ去りシーンや、ともだちコンサートなど不気味な内容が不気味な感じで描かれていましたが、あまり現実味がありません。ワーといっせいに同じ動きをするとか、それ自体は別にあってもおかしくないと思うのですが、なんでそんな妄信的なことになっちゃったの?って部分の説得力が弱い。空想漫画とはいえ舞台背景の唐突さが気になりました。というか、私の興味が別の方向にいっているだけで、たぶん。例えば敷島教授の娘がともだち教団に付込まれて、風俗業に転身してしまい、わりと幸せそうに頑張っている様子は、怖いストーリーで怖い画でした。しかし、この怖いエピソードが怖い話として完結するには、ごく普通のお嬢さんの付込まれていく要因まで描いたときじゃないかなあ、と思います。極端な結果のみの描写の連続が、唐突に見えました。漫画だと気にならないんですけどねえ、実写で人間が演じるとまた違うのでしょうか。
とはいえ、すごく面白い話です。原作を半分くらいで投げ出したため、的外れな所を観ているかもしれませんが、今後の気になるところは、 「ともだち」の根本的な動機です。最終的に憧れのケンヂ君を屈服させ自分が頂点に立ちたいのか、単に絡んでいたいだけなのか。 空虚感が大きいのは、大人になっても絡んでいたかっただけ、だと思いますが、そんなに分かりやすいストーリーでは人気が出ないとも思うし。原作は読まずに、映画を待とうかな、すごく楽しみです。
それと本作は、ディテールにたいへん拘っています。私が凄いなと気づいたのは、キリコの部屋の本棚が一瞬だけうつりますが、そこにあった本の出版時期と劇中時間が一致していることです。MBoCって生物学の教科書の日本語版が本棚にはありました。この本は映画の撮影時期も撮影前も4版が流通していたと思います。映画で一瞬うつった本は3版でした。おそらく、劇中に合った本をわざわざ取り寄せているかと思います。100万人が見ても気づくのは100人くらいじゃないかと思う部分ですが、力が入っています(てか、本作は関わっている人数が半端ないんでしょうが)。古い年代のこととかよく知らないし、あの1970年代の駄菓子が当時の再現なのかは分からないけれど、たぶんディテールは拘りまくっていそうで、良い感じです。
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