[コメント] ウォンテッド(2008/米)
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「キターーーッ!」と叫びたくなるような爽快なアクション映画だった!
スタイリッシュな映像が際立つこともあってかあまりその臭いは漂わせないが、実は思いっきりB級テイストな怪作であると思う。それは、父親が暗殺地下組織のエリートであり、新たな才能として組織に見出されるという現実味のないストーリー設定にも言えるし、「弾丸を曲げる」というユニークでもあり単純でもあるアイデアにも言えることだろう。
B級要素を斬新な映像表現で別次元へと導いてしまうところは『マトリックス』にも似ている。思わず劇場で笑ってしまったキーボードで同僚をぶん殴り、壊れたキーと抜けた歯を「F**k You」と並べてしまうスローモーション映像など、映像の凄さなくしては成立し得ないシーンだ。同様に、弾丸を曲げることも前述の通りある意味では単純なアイデアゆえに、映像のパワーでいい意味で誤魔化しているわけで、全体を通して映像表現は考えられているようにも思えた。
ただ、映画全体の構成としては疑問を感じるのが、暗殺組織・フラタニティが実はすべての元凶だったというクライマックスである。修行をしてもらった師匠的な存在が、一気に否定されてしまうその感覚は、どんでん返しよりも裏切りに近いようにすら思える。実は組織こそ悪だったことに気がつく1作目、組織から学んだ力への疑問に悩み苦しんだ末に組織へ挑んでいく2作目、という区切りがあれば描写も深まるゆえに問題はないのだが、1本で収めようとすると説明不足により収束しきれなくなるのだ。
とはいっても、この映画の主題は結局「すべてくたばっちまえ!」ということ。くだらない日常生活をまずは「F**K」と蹴散らし、最終的には組織も何もかも「F**K」だと崩壊させてしまう映画。その点、主人公がちょっと頼りなさそうなジェームズ・マカヴォイだったことが功を奏した。
本当、ストレス解消にはもってこいの、スーパースッキリムービーでした!
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