[コメント] しあわせのかおり 幸福的馨香(2008/日)
不自然さがほとんど見られない希有の映画。そのために費やされた周到細心の集中力こそが不自然、というか常軌を逸していると思われる。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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私が「?」と思ったのは、次の1点のみ。王さんが左半身不随になって左手で中華鍋を握ろうとしてできないシーン。思い通りに動かない麻痺した左腕を右手で激しく叩く。その叩く音が王さんのいらだちと絶望を表現している。だが麻痺した左腕はあのように強く叩かれて音の出るほどに自身を支えることができるのだろうか。右手で叩かれても受け止めることができず力なく下方へ押しやられて強い音を発する事なくだらりと垂れ下がるだけではないのか。事実は私も確かではないが、この時だけ映画的演出の作為を感じた。
それ以外にはどこにも映画的作為を感じさせる所はない。最後の唐突に思える♪マイスィートホームさえ似た光景を実際に経験したので不自然とは感じなかった(もっとも伴奏のBGMが入るところは映画のお約束として納得した)。そのためこの作り物の映画がまったくノンフィクションを再構成したような印象を与える。フルCGなどという作り物を前面に押し出した演出とは正反対の映像を作り上げた監督に拍手。
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