[コメント] イーグル・アイ(2008/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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『2001年宇宙の旅』をはじめ、『エネミー・オブ・アメリカ』『サブウェイ・パニック』など、いろんな作品の演出が山ほど引用されてあり「あ、あれと同じだ〜」という既視感すら感じさせつつ、『アンドロメダ・・・』と同じ様な結びのシーンに連れて行かれる。
と、言うとただのパクり作品みたいだけど違う。パクリ力の素晴らしさというかどこか違うと思う。
例えば、ガラスの向こうの会話を、唇の動きを読んで解読しようとするシーンがある。「あ、あれだ、2001年宇宙の旅の・・・」と思う間も無く唇が見えなくなったもんで、今度はコーヒーの水面を読もうとする。ひねってるなー。
登場人物も2001年ファンなのか、即座に「メモリユニットを外せ!」と嬉しい(手動で残念)、どこかの映画の様に液体窒素を抜いたり、手塚治虫の某漫画の様に火箸で決着がついたり、本当に今までの作品の演出を引用し尽くしている気がする。
ここまでやってくれたのに、なぜか3度目でアクビがでた。なぜだろう?
この映画は「監督の顔が見えない」という評価があった。自分もそうだと思う。もしやブッシュの再選を目指す財団とかが、「たしかにイラク攻撃は問題あったけど、だからといって大統領以下総入れ替えでいいの?」なんて動機で出資(笑)・・・とか、何かの理由で「作品の意図」を押し付けられた構図を妄想してみると、監督も脚本もみんな「雇われ従業員」だ。顔など出せる筈もない。自分はこれを日本語吹替で観たけど、タイトルからして本作の方向性を固定していた。「いーぐるあいっ!」って力んだナレーションが入っていた(「きゃのんぼーるっ!」みたいな感じです)。これでは作家性のあるSF映画は期待できない、『デモリッションマン』の様な「なかなかいいアクションSF」がいいところだろう。
ただ、少しだけ弁護すると、自分には本作に「作家」ではない別の人の「顔」が見える。彼は、上から「こういうのを作れ」と言われて「ははぁー!」と承るしかない立場かもしれないが、その立場で許される自由の範囲で、最大限に面白いものを作ろうと、深夜残業で自動販売機のコーヒーとか飲みながら「ほらほら、ここでHALの目玉版みたいなのが唇を読もうとするけれど・・・うふふ」なんて、ニヤーって笑ってる顔だ。きっとSF映画マニアな人だろう。自分の映画を作ると面白い人なのかもしれない・・・本作は高くしたいと思います。
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