[コメント] 宮廷画家ゴヤは見た(2006/米=スペイン)
全篇ニヤニヤが止まらない。同じくフォアマンのコスチューム・プレイである『アマデウス』の三倍は面白い。「二転三転する時代の趨勢」「ゴヤの聴力喪失」といった史実を貪欲に取り込んだヴォリウム満点の無謀な脚本を映画的面白さに落とし込む豪腕演出。撮影よし演技よし編集よし音楽よし。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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ナタリー・ポートマンの尋問→拷問のカッティングなど、とにかく編集が冴え渡っている。巧みというよりも笑いを誘う省略ぶりだ。一気に十五年後に飛んでしまうあたりの呼吸もよい意味で観客を馬鹿にしており、すばらしい。
「よい意味で観客を馬鹿にしている」あるいは「人を喰っている」というのがこの映画の肝かもしれない。ハビエル・バルデムの造型にしてもそうだし、ステラン・スカルスゴールのゴヤを主役とも狂言回しとも呼ぶことを禁じているところのいいかげんな物語への出入の仕方もそうだ。ポートマンがあのバルデムに対して顔芸対決を挑むに至ってはもはややりすぎなのだが、この「やりすぎ」こそが(私が見た限りの)フォアマン作品に欠けていたもので、私などはうれしくなってしまう。ラストカットも実に馬鹿馬鹿しく決まっていて最高じゃないか。
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