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[コメント] DISCO ディスコ(2008/仏)

きょとん顔が絶品のめっちゃキュートなエマニュエル・ベアールに胸がきゅんきゅんして窒息するか思った。などということはまあどうでもよろしい。当然のごとく新味はないがフランク・デュボスクの柔らかに傍若無人なキャラクタさえ受け容れられればじゅうぶん楽しめるよう定石どおりに仕上げられている。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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しかしその定石の踏み方はいささか中途半端なところがあって、たとえば「葛藤」の底が浅いという問題がある。デュボスクは元ビー・キングのメンバーであるアベス・ザーマニサミュエル・ル・ビアンをディスコ大会に誘う。それぞれ事情のあるザーマニとル・ビアンはいったんは断るが、結局は参加を了承する。まったく定石どおりの展開ではあるが、その際のザーマニとル・ビアンの葛藤が小さすぎるのではないか。しかしその葛藤の小ささ、すなわち大会出場がデュボスクの息子のためと知っただけで即座に考えを改めてしまうル・ビアンのさまが感動的でもあり、あるいは仲違いをしたデュボスクとベアールがやや時間を置いたのちに教室でダンスをともにするだけで仲直りしてしまうというのも葛藤を欠いてあっさりとしているが、ここでも台詞による冗長な心理描写を省いたそのあっさりこそが感動的である。と、以上のようにいささか好意的な見方をしたとしても、ライヴァル・チームとの「因縁」が決定的に欠如しているというのはどうしてもいただけない。デュボスクとベアールの中学生的ロマンスに時間を割きすぎたためだろう。

ダンスシーンにはもっと昂揚や幸福感がほしい。もちろん及第点の出来ではあるのだが、これは徹頭徹尾「ダンス」の映画であるはずなのだから、もっとダンス演出にかける気合いを見せてほしかったところだ。云い方を変えると、これもまた定石についての話になるが、特訓シーンの描写が不十分なのではないか。ラストのダンスにおけるデュボスクのソロには一応バレエのレッスンが活かされているということになっているのかもしれないが、これではちょっと物足りない。特訓シーンにおいてベアールがビー・キングに必殺技を伝授し、彼らは決勝戦でそれを炸裂させる。という定石こそがここでは必要とされていたのではないだろうか。

しかしながら、ディナーほかデュボスクとベアールによるほとんどすべてのシーンや、挿入の意図はよく分からないがなんだか楽しいウォーターベッド絡みのシーンなど、微笑ましいシーンを多く持った映画であるということはぜひとも銘記しておきたい。

(評価:★3)

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