[コメント] 都会の叫び(1948/米)
これは傑作だ。犯罪映画としての充実はかなり高いレベルにある。まず、主人公は警察側のヴィクター・マチュアのようにも受け取れるが、映画を支えるのは、あくまでも犯罪者・リチャード・コンテであり、彼は唾棄すべき悪党であると同時にすこぶる魅力的な悪役なのだ。
クレジット開けも彼の登場カットだ。既にして瀕死の重体である。以降、ラストまでずっと傷を負った状況にある。そんな中で、シェリー・ウィンタース、ホープ・エマーソン、デブラ・パジェットという3人の女優と関わるのだが、いずれも陰影の深い、ローキーを基調とする画面で描かれる。ウィンタースとパジェットの使い方は「今見ると」ということはあるかも知れないが、贅沢な使い方で感動する。とくにウィンタースが唐突に登場し、退場するのには驚いた。また、ホープ・エマーソンという女優は、ハリウッドで最も上背のある女優で、本作ではマッサージ・パーラーの大女の役だが、メチャクチャ恐ろしくて気味悪くて最高だ。また、コンテにいたぶられる悪徳弁護士役は『鉄のカーテン』のベリー・クルーガーで、やはりこの人は押し出しがある。ちょっと、オーソン・ウェルズに似ている。といった、このようないい脇役が他にも多数出て来て全く緊張が途切れない。ラストのコンテとマチュアの対決、そしてコンテのナイフを取り出す所作の演出も、その意味不明さがたまらないのだ。
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