[コメント] D-WARS ディー・ウォーズ(2007/韓国)
映画を見終った人むけのレビューです。
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何の面白みもないプロット、素人くさいストーリー・テーリング、編集も駄目駄目なら、幼稚きわまる人物描写なんぞは正視に堪えたもんじゃないし、おまけに字幕まで間違えてやがる――よくわかります。そのとおりです。しかし、それでもなお、これは立派な怪獣映画だった。立派に怪獣を描ききった物語だった。それは『グエムル 漢江の怪物』や『クローバーフィールド HAKAISHA』が途中で見失い、投げ出したことだ。
LA真っ只中での市街戦、そして、高層ビルにとぐろを巻くバラキの姿は圧巻だ。舞台がそこから移ってしまうのが残念なほどに。そしてマクウクウカンに引きずりこまれた日にゃ、俺とて幻滅しかけた。
しかしだ、俺は、なお、このバラキとクムギの大蛇バトルに魅了された。クムギがドラゴンに脱皮した瞬間わかったのだ、監督にはこの光景が見えていたんだってことが。見えちゃったこの絵をなんとか映像にしたい一心で、突っ走るしかなかったんだってことが。
駄目な脚本なのは間違いない。でも、俺は、この蛇が龍に脱皮するまでの物語、脚本だとかになるはるか以前に監督が思い描いた夢想までが嘘だとは一切思わない。だからこそ、女がいたずらに救われず召されていくのも、男が取り残されるのも清潔だと思えた。あの龍は美しく、アリリャンにも心震えた。
俺は、この監督がいつかこの辛い世評や、あるいは、適当に怪獣を使っては適当な人間ドラマに逃げていく著名な監督・プロデューサーどもを蹴散らして、大輪の華ならぬ大怪獣を咲かせることを願ってやまない。
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