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[コメント] ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト(2008/米=英)

「Street Fighting Man」たちが世界を動かす日(バンドとしての素晴らしさは皆さんが言い尽くしているので、別の角度からの話を)[TOHOシネマズ六本木ヒルズ1/SRD]
Yasu

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







開演前、クリントン元大統領夫妻ら、政界の要人が続々と挨拶に訪れる様子をキャメラは映し出す。ヒラリー・クリントンが夫に対して「あなた、ローリング・ストーンズを待たせてるわよ!」というのを聞いていると、ストーンズも実に大物になったものだと今さらのように感じさせられる。

そもそも、彼らはかつてその言動によって「若者に悪影響を与える」として体制側からは目の敵にされていた存在である。実際にたびたび逮捕されていることも、随所に挿入される資料映像で明らかだ。そんな彼らが、今では体制側と同じ、いや、もしかするとそれ以上の立場に立つようになっているのである。

それがいいのか悪いのかは分からないが、しかし、例えばイギリスがベトナム戦争を支持したことに抗議して勲章を返上し、「Working Class Hero」のまま死んでいったジョン・レノンと比べたりしてみると、かつての「Street Fighting Man」たちの今の姿を見るにつけ、やはりどうにも複雑な感情が胸をよぎってしまうのは否定できないのだ。

だがそれでも、ザ・ローリング・ストーンズが世界最高のブルースバンドであり、世界最高のファンクバンドであり、そしてもちろん世界最高のロックバンドであることは、本作が提示しているまぎれもない事実である。観ている間は、「ミック、60過ぎてあの体型はスゲエ」「キースもまたギターが弾けるようになってよかった」「俺のロニーをもっと映せー」「チャーリーのスティック回しがまた見たい」などと下らないことを考えながら楽しんだ。バディ・ガイとのシーンなど、思わず自分のギターを抱えてスクリーンの向こうへ飛び込みたくなるほどの臨場感であった。なんだ、結局ライブの感想になってしまったな。

いずれにしても、バンドの歴史を振り返り、ちょっと微妙な思いにもあえて踏み込み、そして何よりもライブを楽しませてくれたことに対して、謹んで★5を進呈。

(評価:★5)

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