[コメント] キッチン(1989/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
原作を読んで、ある程度のイメージが自分なりに出来ての鑑賞だったので、原作と映画のギャップが、いたるところで生じてしまい、この作品を純粋に楽しめなかったというのが、まず一番の「後悔」でしょう。
はっきり言って、映画を先に見たほうが良かったなと思います。そうすれば、原作との違い云々を言うことなしに、映画だけを純粋に見ることが出来たではずです。
主人公みかげを演じた川原亜矢子は、正直ちょっとはイメージとずれましたが、まあ、まだ見ているうちに、彼女は彼女でまた、原作の「みかげ」らしいのかもしれないな、と思いました。ちょっと後ろ髪が、刈り上げしすぎかな。
しかし、相手役の田辺雄一がいただけませんでした。まず彼を一目見て「違うでしょう」と思いました。で、この作品に限っては、彼のミスマッチの度合いが、大きすぎて、「違う違う違う」と心でつぶやきながら見ていたせいで、この映画を全面的に肯定できない、「大きな理由」となってしまいました。
また、田辺雄一の部屋は、原作読んだ限りでは、これまたイメージがぜんぜん合わずに、かなり違和感を感じてしまいました。 無機質というか、人工的な感じが好きになれませんでした。
映画は、「キッチン」と「満月ーキッチン2」の原作、合わせた映画化なんでしょうか。「キッチン」を中心に、「満月」のほうはちょっとだけ使った、ような、どうも原作も中途半端に作品化されたとしか思えなかったのですが。
蛇足ながら、「吉本ばなな」さんを読んだのは、この『キッチン』が初めてです。
そもそも、読もうと思った動機が、「綿矢りさ」さんというから、かなり不純な動機です。 「綿矢りさ」さんが、かわいらしかったので、『蹴りたい背中』を手に取ったという、なんともあきれるような単純な動機が、始まり。
そして彼女のインタビューに、吉本ばななさんの『キッチン』は5,6回くらい読んでいて、とても好き、というのを見て、あ、これはチェックしないと、と思ったわけです。
ですから『キッチン』が読みたかったとか、吉本ばななさんに興味があったということではなくて、ただひたすら「綿矢りさ」なわけです。
ま、それはともかく、それで『キッチン』を読みましたが、意外に、というと失礼でしょうが、けっこう感動しました。人気があるのも納得しました。
それだけに、今回の映画『キッチン』は、原作と比べるざるを得なくて、いろいろな意味で、映画の良さも、存分にあることを感じつつも、同時に不満がけっこう出てしまう結果になり、残念です。
吉本ばななさんの小説はこれから、少しずつ読んでいきたいな、と思いました。
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