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[コメント] 大自然の凱歌(1936/米)

大自然は女に仮託され製紙王の傲慢が対照されるという『ジャイアンツ』的な主題があったはずだが何処かへ行ってしまい、結果訳の判らない邦題が残った、ということなんじゃないか。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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エドナ・ファーバーは『ショー・ボート』や『ジャイアンツ』でも有名な作家で、並べれば一貫した切り口が見えてくるものがある。本作は植林もせず伐採を繰り返した製紙王への批判が女に仮託され、最後の妻の「全てを手に入れるのは無理よ」に至る話なのだろう。しかし映画はこの骨格を生半可に捉えているとしか見えず(例えば紙コップの大量生産の奨励)、従って感動も薄い。好きだった女の娘に恋した男が振られる話にしかなっていない。本作の邦題も意味の判らないものだが、原作には自然保護の主張があったのではなかろうか。

シネマヴェーラによれば、前半がホークス、後半がワイラーの演出とのこと。この時点ではホークスに一日の長があるのは当然なのだろう。木材切り倒しから河への投下運搬、製材所へ至る冒頭部のドキュメンタリーの流れるようなリズムの良さはワイズマンを想起させられる(影響関係があるのだろう)。銀皿投げ続ける酒場の乱闘もハイな浮遊感がある。後半でいいのはアメの引っ張り合いだろうか。

フランシス・ファーマーをはじめて観た。パラマウントの精神病院への強制収容事件と、ニルヴァーナの曲で記憶された人。

(評価:★3)

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