[コメント] 消されたヘッドライン(2009/米=英)
ベテラン記者、ラッセル・クロウの身辺に纏わるサスペンスとして見れば十分面白いのだが、社会派としての仕立てに少しずつボロが出てくる。細部にハラハラしつつ、描かれる大きな絵に白けてしまうというのが大多数の観客の声なのではなかろうか。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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クロウとレイチェル・マクアダムスの共闘のきっかけが些細であること、クロウのアパートを訪れたベン・アフレックとの会話など、序盤はなかなかいいムードだ。そのスリルは中盤まで持続するが、アフレックの助手ソニア(マリア・セイヤー)の密会写真が出てきたあたりからどこか引っかかる。
ポイントコープの件は、議会の公聴会で進行中の事案であり、それを継続して追っている政治部の記者というのも存在してしかるべきなのだが、編集部には何の情報もない状態で、さてこれから調べを始めようという展開が不自然だ。チームワークのあり方もイマイチだし、いちいち経営母体を気にするヘレン・ミレン編集長の一本調子も癪に障る。
アフレックの側も、ポイントコープに一年半も関わっていながら、キーパーソンである広告宣伝マン、ドミニク(ジェイソン・ベイトマン)の顔を知らんというし、どうも釈然としないところがある。
こうした妙な違和感が、ミステリを構成する謎にはなっておらず、ただ観客の混乱と不満を招くだけになっているのが欠点だ。暗殺者の最後の仕事も、アフレックを狙うように見せておいて実は…という流れなら、むしろポイントコープ側についているファーガス下院議員(ジェフ・ダニエルズ)を標的にするべきではなかったのか。
というように、ミステリとして、あるいはリアリスティックな組織劇としての醍醐味は肩透かしであったが、主演陣の演技、演出は満足のいくものではあった。
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