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[コメント] 無法松の一生(1958/日)

初めて無法松に出会ったのは、1969年少年ジャンプ、あすなひろしが描いたマンガだった。
tkcrows

当時私は小学2〜3年生。子供向け少年誌(当時は大人はマンガなど読まなかったのです)にこれを掲載するとは、当時のあすなひろしや連載を承知した大人たちが、子供たちを今よりも大人であったと認めていた証だと思う。無法松のわかりやすい無邪気さが子供と共通する部分もあったわけだが、私はちょっと大人びた気がして、この作品を愛読した。そして、最終話、私は大泣きした。小学3年生が、無法松で泣く。あすなひろしの抑制の効いたタッチの効果ももちろんだが、作品の持つ力強さが圧倒的だったのだと思う。

高校生になり、その作品が映画としてあることを知った。43年版は残念ながら未だ観る機会を逸しているが、この58年版は幸い観る事が出来た。そこには幼い自分が思い描いていた無法松そのものがいた。荒くれで融通が利かなくて、頭も良いとはいえないけど、人として実に魅力的な車引きのおじちゃんがそこにいた。そして、当然のことながらラストでは泣かされたのだ。

あれから30年近く。その後も何度かこの三船版は観る事が叶い、その都度泣かされる。自分でもバカだなあ、と思いながらもこの涙は抑えたいとは思わない。

※単行本収録されていなかった、あすなひろしの描く「無法松の一生」が氏の逝去を期にファンの尽力によって刊行されたみたいです。機会があったら一読を。

(評価:★5)

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