[コメント] アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン(2009/仏)
男たちの苦悩がどこまで行っても平行線(物理的にあえて狙っているようでもあるが)で、何ら呼応も反応も生み出さず、ただベタな比喩が無骨に横たわるのみ。さらに、肉体的苦痛のみ強調されて、精神的苦悩など皆無なのは映画をつむぐ繊細さが欠如しているからだ。
おそらく、アメリカ、日本、香港の人気俳優を別撮りせざるを得なかった弊害がもろに出ているのだと思う。しかし、その物理的距離を消滅させるのが、緻密な演出と大胆な構築力のはずである。ウォン・カーウァイが『2046』で実証していたように。
また、肉体の痛みが、精神の痛みにまで昇華しなければ、それはただの興味本位の暴力描写でしかない。その証拠に、キム・ギドクが描く暴力には常に崇高さや神々しさが漂うではないか。
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