[コメント] ターミネーター4(2009/米)
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結局、素直に童心に戻り、スクリーンいっぱいに広がる映像にワクワク,ハラハラ出来た。これは、やっぱり凄い事だと思う。小中学生ならともかく大人に迄も興奮を与えてくれる画面から溢れるクォリティの高い数々のテクノロジー。モトターミネーターなんて出て来た時は嬉しくて笑ってしまったし、大きなマシンが人々をさらうシーンには「ガンダム」や『エヴァンゲリオン」の実写化も近いと感じた。
インターバルを、おいての4作品目ということでキャスティングが一新され不安だったのだけれど(そもそも見知らぬキャスティングが多く最初、躊躇していた)往年の『ターミネーター」を見守って来た人々を一気に虜にするスクリプトと名演の数々。パワフルでエナジー溢れる本作において、キーパーソンのジョン・コナーを演じるクリスチャン・ベールは痩せぎすで存在感は薄いものの、その分、"知性"を強く感じさせリーダーと言うカリスマは醸しており及第点。
しかし本作の実質上の主役は孤高のヒーロー・マーカスを演じたサム・ワーシントンであろう。設定に難点(懺悔に至る描写の薄さ、改造されたと知る事へのショックの薄さ、コナーへの必要以上の忠誠心など)は残るものの、シュワルツェネッガーが造り上げた不屈のターミネーターのイメージを継承し存分に発揮してくれるのが、この人。日本のヒーロー作品や漫画(鉄腕アトムとか人造人間キカイダーのビジンダーとかetc)では多く描かれる機会人間の迷い,悩み,苦しみを中盤以降は背負いアンドロイドとしてのヒューマニズム感じさせ、解っちゃ居るけどほろりとし観客を味方につけ、応援したくなるのである。(後半、延々と泣いてるウザイ観客のおばはんが居た程)。
もう一人のキーパーソンであるカイル・リース演じるアントン・イェルチンもなんとなく顔立ちはマイケル・ビーンを感じさせキャスティングも頑張っている。彼の登場辺りから年号と人物関係に混乱を来たすので余裕のある人は過去作品を、おさらいしてから観るべきである。イェルチン自体の演技は普通なのだが、カイル・リースとしての置かれてる状況を思うと消えたら大変なので、これまた観客は必死に動向を見守ってしまうはず。出来ればジョン・コナーが自分の存在を守る為に必死で彼を助けると言う単独行動よりは、スカイネットを滅亡させるのに重要な人物と周囲にきちんと伝え「プライベート・ライアン」のように仲間達で彼を奪取するストーリーに描けば、よりヒューマンでヒロイックになったであろう。←誰?
女優陣は完璧に脇に追いやられ過去のミス・ゴリラことリンダ・ハミルトン的な大活躍の人はおらず。ただビジュアル的に存在感を発揮するのはカーリーヘアーがカワイイジェイダグレイス。どこか謎めいており何かしてくれるのでは?と期待してたら何もしてくれなかったけど…。もう一人、魅力を放つのはマーカスの人間性に気付くムーン・ブラッドグッド。彼女も途中で引っ込めさせずスカイネットに送り込んで活躍させて欲しかった。へレナ・ボナム・カーターは、てっきりエラ繋がりで、リンダ・ハミルトンの役を引き継ぐと思ってたら意味不明な博士だった。冒頭のマーカスのキスをもっと欲しがって唇突き出してるシーンに爆笑してしまった。思わせぶりな老女を演じたジェーン・アレクサンダーもメシア的な存在なのかと思ったら,単なる老婆でびっくり。しかし一番微妙だったのは親の七光り以外、特になにも無い、でっぷりしたブライス・ダラス・ハワード。恐ろしく華が無い。本作で引退すべき。
作品総合評価としては、とにかくスピーディーで、観客のハートを鷲掴みにしっぱなしだけれど前シリーズを観ていない人だと、その人間関係等が把握出来ず、感動や面白さは半減かも。逆に前シリーズファンには、ノスタルジックにも浸れる満足感はあるとは思うが、シュワちゃんのとってつけたような半端な出演シーンは蛇足かも。「オペレッタ狸御殿」の美空ひばりを思い出し、ここでもデジタル出演で、出て来るんじゃないか?と一瞬過って緊張感そげたし←お前だけ。 また、ラストでベール演じるジョン・コナーには、潔く天国に逝って貰った方が話としてはスマートであった。自身の心臓を差し出す唐突なマーカスの描写も驚くが、その場の周囲の適当な描写も微妙で、せっかく軽快に飛ばして来たのにラストで大きくつまづいたという作品の印象が残ってしまった。
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