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[コメント] The Harimaya Bridge はりまや橋(2009/米)

清水、高岡の奇をてらわぬ抑制の効いたものごしと、これが日本だとばかりに象徴的な中堀正夫の画作りに助けられつつも、外国人にとってさぞ魅惑的だろう日本情緒という曖昧な罠を、巧みに回避してみせたウルフォーク監督の異文化に対するバランス感覚は見事。
ぽんしゅう

日本の自然、家屋、風俗といった「光景」すなわち文化を巧みに写し撮る撮影監督に山田洋次と組んだ高羽哲夫がいた。もし、この作品をいたってオーソドックスな高羽が撮っていたら、おそらくアロン・ウールフォーク監督の「日本情緒」に対する欲求は満足せず、外国人ならではのバイアスが作品の随所に顔をのぞかせたのではなかろうか。

中掘正夫は実相寺昭雄監督と長らくコンビを組み、常に象徴的に「光景」を切り取ることをよしとした撮影監督だ。ときにエキセントリックにすら見える画ではあるが、そこに写し込まれた「光景」はあの宮川一夫の系譜に属するまぎれもない「日本の光景」である。

外国人監督を満足させつつ、的確に日本的なるものを主張する中堀正夫の画づくりが、日本を舞台としたこの異文化交流映画のバランス保持に果した功績は大きい。

(評価:★4)

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