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[コメント] オズの魔法使(1939/米)

ディターレの『真夏の夜の夢』(35)などと比べてもこのバタ臭く残酷を隠さないファンタジー世界は異様。東の魔女が死んだのパレードなど『フリークス』に近似するものがある。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







魔女なら建物の下敷きになって死んでも構わない、という発想自体、我々の念頭にあるファンタジーからズレている(本作は民話ではない)。西の魔女マーガレット・ハミルトンの鉤鼻は明らかにユダヤ人への揶揄があり、この辺り戦前映画の如何わしさが蔓延している。ハリウッド資本は一般にユダヤ系が多かったはずだが、何でこんなもの作っているのだろう。三匹の子分が農奴の変身というのも時代である。

お家が一番と保守的に纏まる話は、とやかく云うほどのものでもないが、この一家、直前に地主のハミルトンに盾突いているのであり、その後どうなったか不明なのは居心地の良い作劇とはいい兼ねる。ジュディ・ガーランドは肩幅広くて魅力なし。歌唱力のセレクトなんだろう。結局、愉しめるのは楽曲の良さと竜巻の美術。光ものがやたら多いファンタジー美術は『石の花』に近似するのが興味深い。サイケとどこかで繋がっているのだろうか。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)けにろん[*] ゑぎ[*]

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