[コメント] 陽のあたる場所(1951/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
出てくる感想はシェリー・ウィンターズみたいなしつこいブスにつかまったらどうしようもないという頓珍漢なものだ。あとはエリザベス・テイラーのファッションがいいとかそういうレベルの作品に過ぎない。リズに「結婚式は女の最大の楽しみよ、盛大に」みたいな科白があるが、これを別に映画は否定しない。貧富の差について何も云うことを持ってはいない。ただアメリカンドリームへのチャレンジと失敗がありました、とでもいいたげなのだ。
殺人事件なのにウィンターズを憐れむニュアンスが何もないのもすごい。彼女は後半の裁判中にまるで回想されない。あくまでシルヴィア・シドニーが主役のスタンバーグ作とは大違いである。アカデミーはウィンターズに主演女優賞を与えたのだが、これは嫌味に思える。
母親の宗教活動は何も穿っておらず、貧富の差も同様。「私たち、別れるために出会ったのね」というリズの小娘の総括に納得できるものは特になく、監獄での別れの挨拶も取ってつけたようなものだ。ボート転覆の撮影もスタンバーグに大敗だろう。ウィンターズのアップ連発はヒッチコックを思わせるがそれくらい。心理を捕捉し続ける劇伴はやり過ぎすれすれ。
いいのはラジオの使いまわし。深夜にボリューム上げすぎたのが部屋に入る口実になり、ラブシーンはこのラジオのアップ、一夜明けてノイズを発している。男が云い訳を始めるとき彼はラジオを切る。中盤にボートの埠頭で事件を報じるのもまたラジオだった。あとはビリヤードのスリークッションの技。再見。京都からキタのSABホールまで見に行ったが寝てしまって、はじめて見るようなものだったが、寝た理由まで判った。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (1 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。