彼氏ができた高揚、ダンスパーティ前の幸福感、最後にビーチに出かける車中からアビゲイル・ブレスリンに投げかける心から嬉しそうな笑顔。愛する家族の中で、短いながらも人生を全うする強さがその笑顔に凝縮され、感動を禁じえない。その神々しいまでの強さの前では、母の意地も、妹の屈折した感情も力を喪う。

キャメロン・ディアスの剃髪だとか、実の親を訴えるというセンセーショナリズムだとかも、実は映画の本題ではなく、あえてミスリードを誘うことで若き生命の喪失という粛然たる事実を印象付けているようにも思える。もっと感動的な演出を施すことも可能な題材だったとは思うが、意図的に抑制することで生命の儚さを訴えているように感じる。