[コメント] 黒い十人の女(1961/日)
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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男が常に恐れる女の団結というテーマは空中分解し、それぞれの選択という平凡な処に納まってしまう。山本と岸の出カットの数を揃えるなどという、いかにも昔のスター・システムらしい実にどうでもよい理由から、終盤に岸の出番を増やしたに違いないのである。宮城まり子の幽霊も全然面白くない。
「電信柱」船越英二の設定及び造形は素晴らしい。やりまくりのTVプロデューサーやディレクターなどという話題がテレビの草創期からあったのかどうか知らないが、この職業に社畜の典型をみる視点が優れている。「局で番組を観たことがない」とは、大抵の社会人が自分の会社に対して日常経験していることじゃないだろうか。彼は疲れているし、殺してあげたほうが本人のためだというとんでもない理由づけが真に迫っている。「殺されても僕は困らないけど君が困るでしょ」と山本に云う船越の(この社会がなければ消えてなくなる)電信柱振りの見事さよ。だからこういう男は本当に殺してみる思考実験が必要だったはずだ。彼が監禁されて「僕は仕事がしたいんだ」などと叫ぶ、単に口八丁なやりまくりの世渡り男だったのであれば、興味がなくなる。
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