[コメント] フロント・ページ(1974/米)
ワイルダーは最晩年になって、本当の意味でルビッチ・スタイルを手に入れたのかも知れない。しかし、本来ワイルダー作品で面白い部分はそこではなかったんじゃないか?
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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1920年代のシカゴを舞台に、ジャーナリストを風刺したコメディ舞台劇の映画化で、長らくハリウッドのトップを走り続けてきたワイルダー監督の晩年の作品となる(ちなみにこの作品、舞台や設定を変えつつ、何度となく映画化されてもいる)。
ものとしては手慣れた作りのドタバタ喜劇で、名コンビであるレモン&マッソーもいい味を出しているし、物語も二転三転の面白さもある。小ネタ満載の会話のキャッチボールも良し。だけど、なんだろうか?妙に古くさい印象を受けてしまう。
…この「古くさい」という表現が正しいのかどうかは難しいところ。もう随分過去の作品なので、今観る限りでは50年だろうが60年代だろうが70年代だろうが全く関係がないはずなのに、なんだか“古い”と思ってしまうのだ。ヒッピー文化まっさかりで、ニューシネマ流行りの時代背景は確かにあるんだが、そんなことではない。
多分、それはワイルダーが手慣れすぎた手法で作り、新しい部分を全く作ってないというところにあるのだと思う。安定した面白さはあっても、そこには挑戦がなく、真剣に何かを訴える部分もない。言うなれば、本当に力を抜いて作った作品だからなんだろう。それで充分に面白いのだが、その手慣れた部分がどうにも「あと一つ」というところに行ってしまう。
何度も言うが、決して面白くないんじゃない。むしろとても面白いんだけど、それがなんか妙に寂しくなってしまう。
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