[コメント] 2012(2009/米)
地球滅亡の日のシミュレーション映画となるか。ディザスター×ドラマのバランスが問われるSO-SO作品
大言壮語の作家ローランド・エメリッヒの渾身の一作。言うまでもなくCGによる怒涛の画面処理は圧巻である。かの哲学者ヴィトゲンシュタインは、映画についての論考を多く執筆しているが、彼の映画鑑賞法とは、大画面を前にして座席は最前列、ドラマがどうのこうのは問題ではなく、ただ浴びるように画面の光彩の渦に恍惚を得るというものであった。まさしくそうした鑑賞法が相応しいめくるめくローラーコースタームービーとしては一級品であろう。映画が人間を描写する時、では肝心のドラマはと言いたくなるが、このエメリッヒという監督は、どこか中途半端な印象を受ける。生死を境に人生についての考察はやはり皆無であるし、ドラマティックで感傷的な描き方も一切ない。かといって、阿鼻叫喚の地獄絵図ともならずで、ただCGの技術的強度のみが顕然化する大味の作品なのだ。あと一さじのエッセンス。それが備われば、彼もスピルバーグと肩を並べることができる大家となろう。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (1 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。