[コメント] パブリック・エネミーズ(2009/米)
映像派マンによるノワールムードとジョニデのファッショナブルな出で立ちだけが見物のSO-SO作品
実在の悪漢ジョン・デリンジャーを題材に、ジョニー・デップを起用してその乾いた映像美が期待された本作であるが、いざ蓋を開けてみれば、その言葉通り表面的だけに終わった至極退屈なドラマであった。ハードボイルドを極めるのか、デリンジャー(ジョニー・デップ)とビリー(マリオン・コティヤール)のロマンスを描くのか、焦点の定まらない凡庸な出来である。しかし、ノワール色を意識した陰影の扱いと、統一感を欠いてはいるが、粒子の粗い画面処理でそれなりの美的情緒を実現させたマイケル・マンの手腕は少なからず評価に値し、ジョニー・デップの視覚的にキャラクターを造形する演技創造は、その端正な立ち居ぶるまいをファッショナブルなアウトローとして顕在化させた技量は成功の部類だろう。しかしながら、どうにもラブの部分が弱く、サスペンスの妙味もない、ましてやクライムノワールものとして図られながら、ただのひとつも凄みを見せることのない仕上がりは、やはり監督マンの拙さゆえだろう。マーティン・スコセッシの助言を必要とする。要するに人間味が感じられない雰囲気ものなのである。ジョニー・デップのアイドル映画としては可能かもしれない。
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