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[コメント] おとうと(2009/日)

負にまみれた悔悟と、それに気づかなかった優位者の悔悟の話しである。世間という名の優位者コミュニティから馬鹿にされ、見放され、人生において一度も主役を与えられなかった大衆演劇の役者くずれは、唯一の誇である名づけ親という栄誉を絆に血のつながりを模索する。
ぽんしゅう

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







何のことはない、そんな男の最期に手をさしのべたのは、世間の底に微かに残っていた善意の第三者たちであったという切なさよ。その男、鉄郎(笑福亭鶴瓶)の「未成熟な純粋」に気づいた意識せざる優位者である血縁者親子(吉永小百合蒼井優)の悔悟は、男の死をもってあっけなく解消されたようだ。確かに人の死は、残された(あるいは残った)者にとって、実はその程度のことである方がよい。何故なら残された(残った)者は、明日も生きなければならないのだから。はからずも露呈した「情」を凌駕してしまう現実。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)煽尼采 IN4MATION[*]

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