[コメント] ONE PIECE FILM STRONG WORLD(2009/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
今から10年以上前、電話口(もちろん固定電話)で友人が言った。
「すごく気に入った新連載が始まったんだけど、ジャンプ掲載作だと思うと、この作品もこれから先変になっちゃうんだって今から気が重いの……」
彼女が今のワンピースをどう思っているかは知らないが、この作品が現在、かなり大勢の人に読まれている作品であることは確かだ。
このシリーズのアニメを観るときは、過去のレビューを読み返してもわかるけれど、「私」がどう思ったか、とか、作品のクオリティがどうか、と言うことはなぜだかあんまり気にならない。この作品の周囲にいる人たちにすごく意識が行ってしまう。
たとえば、場内が明るくなったとたんに「ああ!おもしろかった〜」とためいきと共に口にしたうしろの席の10代の女の子、とか、帰りぎわに「おもしろかったね」と、弟に声をかける7歳くらいの男の子と、それに小さく「うん」、と答える5歳くらいの子、とか、ロビーでしばらく立ち話のあとにそっと友達に「おもしろかったよなあ」と、話しかけられてもそれまでずっとニヤニヤしていながら照れたように答えない20代の男子、とか。
無料配布の0巻を手に取りながら、「コミックスの形でよかったよな、このまま(他の巻といっしょに)本棚に並べられるじゃん」とうれしそうな隣の席の奴、とか。
映画の帰り道、某NATURALBE**TYでウールの黒のロングコートを買ったとき、話の流れで「映画を観に行ったんですか?何を観に行ったんですか?」と店員さんに聞かれてしまい「あ、いや、恥ずかしいんですけど、ワンピースを……」と答えたとたん、「きゃ〜〜!0巻、まだもらえるんですか?私の周りのともだちからすすめられて、ずっと読んでるんですよ〜。チョッパーの回とか…」とうれしそうに盛り上がられてしまったり、とか。
どの作品でもそれなりに同じようにくりひろげられているだろうこのもろもろが、私の場合、「ワンピース」と言う作品だけは、みょうに意識にかかるのです。そして、自分がこの作品を観てどうこうという以上に、そのことがすでに「おもしろいなあ」と思うのです。
私は原作漫画を全部読んでいるわけじゃない。テレビアニメを全話見ているわけじゃない。
この映画は、私個人が一本単体で良し悪しを決める気にならない。
週刊少年ジャンプで10年以上漫画連載、フジテレビで10年アニメ放映、一年に一本の劇場版アニメを10本。
それがここで言うほど簡単なことではないことはわかる。
つねにまるっきりのトップを走っていたわけではない。
だがその積み重ねの「結果」はトップクラスだ。
漫画家と、アニメスタッフと、声優さんたちと、
そして読者と視聴者と観客。
その「仲間たち」全員が作り上げたものなのだなあ、と「彼らが護りきった人々のエンディングタイトル」を観ながら感慨深かったです。…………おあっ!!!シャンクス!!…これは名作だっ!
この「仲間」エネルギーは、閉じてはいるのになぜか広く、一見「内輪受け」、と言う小さい域を越えていると思った。一球団の応援客のスタンスに近いのではないかな。
だから、「みんな、ナミを助けに来たよ!」と、次々と「仲間」の名前を上げるチョッパーの言葉にナミといっしょに胸が熱くなる。
それにしても家に帰ってから気がついたんだけど、
黒のロングコートって……
メチャメチャ映画に影響されてるじゃん!はずかしーーー。
でも観ながら、「えんじのシャツに黒ネクタイっていいなあ、やってみたいなあ」とは思ってましたけども。(いつどこで?)
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