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[コメント] モホークの太鼓(1939/米)

なんという美しいカラー映画。そしてこれは、フォードらしい家というか建物の映画なのだ。このモホーク渓谷の農場に建った、小屋のような二人の家が、もう一つの主人公だ。
ゑぎ

 例えば、『虎鮫島脱獄』のグロリア・スチュアートが待つ家。『静かなる男』のジョン・ウェインミルドレッド・ナトウィックから購入する生家。『長い灰色の線』のウェストポイントを望む斜面にある家。『シャイアン』のインディアン居留地に立つ小さな学校。『捜索者』の開巻と巻末の荒野の家。上げ出すとキリがないが、フォードの建物は、全てとびっきり美しく清い映画の装置だ。本作でも、くだんの家を背景にクローデット・コルベールが佇む、もう完全無欠のフルショットがある。思わず『静かなる男』や『長い灰色の線』のモーリン・オハラへの継承を想起し、涙が溢れ出てしまった。また、こゝでも、住居の中での人物のカッティング・イン・アクションには唸ってしまう。そのタイミングのなんと洗練されていることか。本作もまた、間違いなくフォードのベスト候補の一作だ。

(評価:★5)

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